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チックについて

みなさんこんにちは。ヒガです。

現在、日本は新型コロナウイルスの第6波真っ最中です。

第5波が終わったあとには、このまま波が来なければ良いのにと願っていたものですが、まだまだ完全に元の生活に戻るのにはしばらく時間がかかりそうですね。

さて、今回はチックについてまとめてみようと思います。

お子さんが頻繁に意味もなく首や肩をクイっと動かしたり、目をぎゅっとつむったり、咳払いをしたり、喉を「んっ」っと何度も鳴らしたり、息を吸って喉を「ふがっ」と鳴らしたり、「あーっ」などと急に大声をだしたりすることはありませんか?

チックとは、そのような突然に、早い動きで、何度も繰り返して起こる体の動きや発声を起こすものです。

昔は、自分でコントロールできるものは「くせ」、コントロールできないものは「チック」と分けて考えられていましたが、チックも一時的または部分的に我慢できること、症状が出る前にやらずにいられないとかムズムズするという感覚(前駆衝動)を伴うことがあることから、現在は両者の差は小さくなり、重なる部分が多いとされています。

原因は生まれつきの脳の神経回路の性質(ドパミンやセロトニンという物質の働き方)とされており、特に家庭の育て方の問題や心の病気などではなく、もちろんわざとやっているものでもありません。

しかし、緊張、ストレス、疲労、寝不足などによって症状が悪くなることはあります。

チックをもつ子供は10人に1~2人いると言われており、決して珍しいものではなく、10歳くらいまでに発症し、思春期以降は段々と減ってくることが多いです。

チックは、症状の出方によって「運動チック」と「音声チック」に、強さによって「単純チック」と「複雑チック」に分けられます。

単純運動チックは最も一般的なチックで、まばたき、白目を向く、口をゆがめる、肩をすくめるなど、顔まわりの症状が多いです。

単純音声チックは、咳払い、鼻を鳴らす、小さく声を出すなどがあります。

複雑運動チックは、あたかも意識的にやっているかのような動作で、飛び跳ねる、物を触る、匂いを嗅ぐなどがあります。

複雑音声チックは、状況に合わない単語や言葉が出てしまうことで、卑猥な言葉や汚い言葉を発してしまったり、自分や相手の言った言葉を繰り返してしまったりします。

チックをお薬などで治療するかどうかは、その症状によって本人がどれくらい困っているのかで判断します。

チックへの対応として一番大切なのは、チック症状が出ても周りの人が気にしないこと、叱ったりやめさせようとしたりしないことです。

周りの人が気にすればするほど、それが本人にとっての心理的なストレスや緊張の原因になり、ますます症状が強くなる悪循環になってしまいます。

可能であれば、学校や友達にも症状について理解してもらい、症状を気にしないようにしてもらうことも大切です。

なによりも、「別にチックがあってもいいんだ」と安心できることが大切です。

強い複雑チックなど、日常生活にも影響が強く、本人の苦痛が強い場合には、お薬による治療や、精神療法・行動療法などの治療を考えます。

また、チックを持つお子さんは、注意欠如・多動性障害(動き回る、衝動性が強い、注意力が低い、集中できないなど)、強迫性障害(特定のことをしないと、考えないと気が済まず、他の生活に支障をきたすなど)、不安障害(一人になれない、人前での失敗が心配でやるべきことができないなど)、などといった神経発達症を合併しやすいと言われています。

合併症により、さらにチック症状が強くなることもあります。

小児科では、まずは周囲の環境調整や、不安を和らげる漢方薬、鉄分を補うお薬などの治療を開始します。

より専門的な治療や合併症の評価については、専門の医療機関と連携をとり対応させていただきます。


ではでは、今回はこのへんで。