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うちの子って、ぜん息なの?

みなさんこんにちは。ヒガです。

ここのところ急に冷え込み、いよいよ本格的な冬を感じられる季節になってきましたね。

それに伴い、せきが増えて受診されるお子さんが多くなってきたと感じております。

かぜも流行しやすく、ぜん息のお子さんの症状も悪くなりやすい季節で、油断できません。

ということで今回は、ぜん息(気管支喘息)についてお話しようと思います。


「うちの子、いっつもせき込んでるけど、これってぜん息なのかしら?」

せきをよくしているお子さんを見て、こう思ったことはありませんか?

ぜん息の定義は、ガイドラインによると「気道の慢性炎症を特徴とし、発作性に起こる気道狭窄によって、咳嗽、呼気性喘鳴、呼吸困難を繰り返す疾患」とされています。

なんだか難しい言葉だらけでチンプンカンプンですね。

これをかみ砕いてみると、

・長い間続いたり、何回も繰り返したりするせき

・息をはくときのゼーゼー、息苦しさ

・ときに何らかのきっかけで急にしんどくなる

・良くなったり悪くなったりする

といったものです。

しかし、子どもはよく「かぜ」を引きます。

「かぜ」の症状はどんなものかというと、急にせきが出てきて、鼻が詰まって息苦しくなり、保育園や幼稚園に通っていると何度も繰り返しうつってきて・・・

なんだか、ぜん息とよく似ていますね。

ぜん息と「かぜ」とをどうやって見分ければよいのか?

実は、小児科医にとっても難しいことなんです。

しかも、ぜん息の症状が悪くなるきっかけで一番多いものは、なんと「かぜ」です。

両方が重なってしまうと、もう訳が分からなくなってしまいます。


小児科医は、よっぽど明らかな場合を除いて、初めて受診したせきの多いお子さんを、ぜん息と診断することはほとんどありません。

「長い間続いたり、何回も繰り返したりする」かどうかがわからないからです。

特に、保育園や幼稚園に通っているお子さんは、何回も繰り返しても、毎回ただの「かぜ」であることもあります。

これだけややこしいので、ぜん息の診断のために、まずは予防薬を1ヶ月間飲んでみて、それでせきが出なくなったら次の1ヶ月間は飲むのをやめて、またせきが出るようになったらぜん息と診断する、というとてもまだるっこしいことをすることもあります(これを「診断的治療」といいます)。

なので、診断がつくまでは「ちょっと気管が弱いのかもね」とあいまいな表現をされることもあります。

ぜん息が疑われる特徴としては、以下のようなものがあります。

当てはまる場合には、一度小児科に相談に来てみてください。

①「かぜ」以外のきっかけで、せきがたくさん出る(ほこり、タバコの煙、花火の煙、急に寒いところに出る、気圧の低い日や台風の日に悪くなる、運動や大笑いした後に悪くなる、生理のタイミングで悪くなる、などなど)

②「かぜ」の他の症状(発熱や鼻水など)が良くなっても、せきがずっと長引く

③特に夜中や朝方にせきが多くなる

④胸に耳を当てると息を吐くときに音がする、手を胸に当てると響く感じがする

ぜん息は、気管支の慢性的な炎症です。

炎症をずっとそのままにしておくと、気管支がカチカチに硬くなってしまい、治療が効きにくい頑固な重症ぜん息になってしまいます(これを「リモデリング」と呼びます)。

早期に診断し、適切に炎症をおさえて症状を予防することで、多くのお子さんは小学校に入る頃には治療が必要なくなるくらいに良くなります。

診断は難しいけれど、早期の診断が大切という、なんともやっかいなものなのです。

上の特徴に当てはまるお子さんや、ぜん息かどうか不安なお子さんは、早めに遠慮なく小児科で相談いただけると幸いです。

では、今回はこのへんで。