みなさんこんにちは。ヒガです。
今回は、「おねしょ」についてのお話です。
・夜尿症とは?
「おねしょ」のことを、医学的には「夜尿症」と呼びます。
ただし、これら二つの言葉は、完全にイコールではありません。
例えば、1歳のお子さんが毎日「おねしょ」してしまったとして、それはだれでも起こることなので、いちいち「夜尿症」とは言いません。
しかし、10歳のお子さんがときどき「おねしょ」してしまい、お泊りの林間学校に行くのが不安になるのは、「夜尿症」と言えます。
この「おねしょ」と「夜尿症」の線引きは、色んな学会のえらい先生たちが議論されていますが、現在は「5歳以降で1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くもの」が「夜尿症」の基準とされております。
・夜尿症の分類
夜尿症には、一次性夜尿症と二次性夜尿症という分類があります。
一次性夜尿症は生まれた時からずっと続いている夜尿症、二次性夜尿症は夜尿がなくなっていた時期があった(6ヶ月間以上)のに、また夜尿が始まってしまった夜尿症を指します。
特に二次性夜尿症は、他の重大な病気が隠れている場合があるので、早めに病院を受診して相談しましょう。
また、夜尿は他の重大な病気の症状として現れることもあります。
以下の項目に当てはまる場合は、先に他の病気・原因を調べる必要があるかもしれません。
①排尿回数が極端に多い、または少ない
②昼間にもおしっこを我慢できず、お漏らししてしまう
③おしっこをするときに、お腹を押さえないと出し切れない
④おしっこをするときに痛い
⑤尿路感染症を繰り返している
⑥便秘が強い、便を漏らしてしまう
⑦すぐ喉が渇いて、水分をたくさんとる
⑧いびきが強い
・夜尿症って治さないといけないの?
夜尿症は、他の病気が隠れているのでなければ、基本的には夜のおしっこの問題だけです。
日本での調査では、5~11歳の子どものうち、15%くらいが夜尿症であったとされています。
夜尿症の自然消失率は毎年15~17%と言われ、現在夜尿症のお子さん10人あたり毎年1~2人ずつは治療をしなくても自然に治っていくということです。
これは、裏を返せば中学生になった段階でも、10人に1~2人くらいは夜尿症が治っていないとも言えます。
また、夜尿症は身体への影響よりも、むしろ心への影響が強い病気です。
「おねしょ」が続くことが「恥ずかしい」という気持ちや、「同い年の他の子はもうしていないのに」「弟や妹はもうおねしょしていないのに」という気持ちで自尊心が低くなったり、不安のためにお泊り行事への参加ができないなどの弊害が起こります。
心への影響は後々になってからのケアがとても難しいので、私は早期からの治療開始をお勧めしております。
・夜尿症の治療
治療の第一歩は、生活習慣の見直しです。(生活療法)
①できるだけ規則正しい生活をする
毎日同じ時間の就寝・起床を習慣にすることで、質の高い睡眠を得ることができます。
おしっこの産生を抑える抗利尿ホルモンは、ぐっすり寝たときに体内にたくさん放出されることがわかっています。
また、睡眠時間も十分にとるようにしましょう。
②寝る前の飲み物を少なくする
飲み物を飲んでからおしっこになるまでにかかる時間は、2~3時間かかると言われています。
なので、寝る3時間前に飲み物を飲むのを済ませ、そのあとはできるだけ水分をとらないようにしましょう。
どうしても喉が渇く場合は、コップ1杯(200cc)程度にとどめておきましょう。
その分、朝と昼はしっかりと水分をとりましょう。
③塩分をとりすぎないようにする
塩分は、身体の中に水分を蓄える働きがあります。
普段から塩辛い味が大好きな場合は、塩分を控えるようにしましょう。
④夜は冷えないよう、暖かくして寝る
冷えると尿量が増え、膀胱が縮みやすくなります。
特に冬の寒い時期は、寝る前にお風呂に入るようにしたり、お布団をあらかじめ暖めておくなど、工夫をしましょう。
⑤寝る前に必ずトイレに行く
膀胱を空っぽにしてから寝るようにしましょう。
⑥夜中にトイレに行かそうとして、無理に起こさない
夜中に無理に起こされてしまうと、睡眠のリズムが崩れ、抗利尿ホルモンがうまく放出されなくなるなどの逆効果になります。
自分の尿意で起きてトイレにいく分には、まったく問題ありません。
生活習慣の見直しでも治らない場合は、病院での治療となります。
具体的に初めに行う治療としては、抗利尿ホルモンの飲み薬を使った薬物治療、おしっこを感知するセンサーを使ったアラーム療法の2種類があります。
お子さんそれぞれの夜尿の特徴をみて、どちらの治療から開始するか判断いたします。
いずれの治療も、自然に経過をみていくよりも早期に治っていくことがわかっています。