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アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法について

みなさんこんにちは。ヒガです。
いよいよ秋らしい気候になってきましたね。
急に寒くなり、衣替えで洋服やお布団を大急ぎで出してきた方も多いかと思います。
それに伴い、ホコリやダニによる鼻炎症状がつらい季節でもあります。

今回は、アレルギー性鼻炎の治療のひとつであり、舌下免疫療法についてまとめたいと思います。

舌下免疫療法という治療をご存じですか?
これは、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)で作られたお薬を舌下(ベロの下)に毎日内服することで、アレルゲンに対して強くなる(耐性獲得)ことを目指す治療のことです。
当院では、スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎に対して、5歳以上の小児を対象に舌下免疫療法の導入を行っております。
また、治療期間が長期間となることから、すでに鼻炎症状のある方については、学業・部活などで忙しくなる中学生・高校生になる前に、小学生までの導入をオススメしております。

これまでのアレルギー性鼻炎に対する治療は、基本的には症状を抑える抗アレルギー薬の内服・点鼻・点眼での治療と、花粉やホコリなどを回避する環境調整が主体でした。
しかし、これらの治療はいわゆる「対症療法」であり、アレルゲンに反応してしまう体質を改善するものではありません。
そのため、中には経年的に症状が改善する方もおられますが、そうでない方は症状を抑えるためにずっとお薬での治療を続けるか、我慢して生活するかのどちらかとなります。
舌下免疫療法はアレルゲンへの反応そのものを低下させるので、効果があればお薬を減らせたり、なくしたりできる可能性のある治療です。
また、鼻炎・結膜炎症状を早期から抑えることにより、それ以降の新たな花粉やダニ・ホコリへのアレルギー反応を予防できるとされています。

スギ花粉症に対する舌下免疫療法は導入時期が決まっており、スギの飛散時期(2月~5月)には導入することができないので、6月以降~年末までの導入をオススメしております。
また、ダニ舌下免疫療法については、時期に関係なく導入できますが、他の原因による鼻炎が落ち着いている時期の導入をオススメしております。

治療導入の流れは、上の図のようになります。
導入に際しての注意点は、以下のとおりです。
・アレルゲンを投与することから、局所的なアレルギー症状(口や耳のかゆみ、喉のイガイガ)や、まれに全身性のアレルギー症状が現れる可能性があります。
・スギ花粉の飛散していない時期や、鼻炎症状のない時期も含め、毎日の服用が必要です。
・長期的な治療効果を得るためには、3~5年間の内服継続が推奨されています。
・定期的な通院が必要です(1~2ヶ月毎)。
・導入前1年以内にアレルギー検査を行っていない場合は、スギやダニへの感作(体がアレルギー反応を起こしている状態)の確認のため、先に血液検査を行います。他院でアレルギー検査をされたことのある方は、検査結果を持参してください。
・初回内服は副反応の有無や、内服方法に問題がないかの確認のため、病院にて行います。特に年少児の場合は、舌下に1分間飲み込まずに保持できるか、痒みなどの症状をきちんと伝えられるか、などについて確認します。
※より詳しく知りたい方は、鳥居薬品の舌下免疫療法情報ページをご覧下さい。
→トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビhttps://www.torii-alg.jp/

当院小児科通院中のお子さまがおられるご家族に限り、ご両親についても舌下免疫療法の導入が可能です。
親子で一緒に治療することのメリットとしては、以下のことが挙げられます。

①毎日忘れずに続けやすい
舌下免疫療法は、3~5年の長期間、できるだけ毎日忘れずに続けることが大切です。お互いに投与時間を決めて、確認しあいながら内服すれば、一人で治療するよりも毎日忘れずに続けやすくなります。
②通院回数が少なくなる
親子一緒に受診して診察や処方ができるので、それぞれが別々の医療機関に通院するよりも手間が少なくなります。
③子供の治療のモチベーションを維持できる。
長期間、毎日の内服を続けることは大変です。また、内服時に口腔内のかゆみやのどの違和感などの副反応を生じることがあります。内服の大変さや副反応について、親も共感できることで、治療のモチベーションを維持することができます。

※大人の方が当院小児科で舌下免疫療法を受けるにあたっての注意点
・治療を開始する前に、アレルギー血液検査にてスギまたはダニに感作されていることを確認する必要があります。治療開始前1年間にアレルギー検査を受けていない方は、治療開始前に血液検査を行います。
・診療・検査・処方薬などの費用は、保険診療に従います。費用について気になる方は、遠慮なくご相談ください。
・当院小児科では、舌下免疫療法・アレルギー症状に関するもの以外の診療や薬剤の処方は行えません。その他の疾患の治療については、ご自身のかかりつけ医の診療を受けてください。また、治療中の持病などがある場合には、舌下免疫療法を開始してもよいかどうか、事前にかかりつけ医とご相談ください。

舌下免疫療法導入を希望の方や相談を希望の方は、遠慮なくお申しつけください。

―オマケ―
私も子供の頃からスギ花粉症なので、実は舌下免疫療法をしています。
2018年6月から開始したので、かれこれ3年半くらい続けています。
初めの1ヶ月間くらいは少しのどがイガイガしていましたが、それ以降はすっかり何もなく続けています。
治療を始める前は、毎年春になると内服・点鼻フルコースでも滝のような鼻水が止まらず、外来診察中はマスクの下で丸めたティッシュペーパーを両鼻につっこんで診察していることもありました(笑)
それが今や、春にほとんどお薬を使わなくても症状がなく快適に過ごせています。
ずっと一番嫌いな季節は春だったのですが、今はとても好きな季節になりました。
症状のないときもずっと毎日飲み続けるのはちょっと大変で、ときどき飲み忘れてしまうこともありますが、あと1年半しっかり治療を続けたいと思います。